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JSM vs CSM:権限・ロール体系の違いと設計指針

AtlassianのJira Service Management(JSM)とCustomer Service Management(CSM)は、同じAtlassianプラットフォーム基盤上に構築されていますが、権限の設計思想が根本的に異なります。本記事では、両製品の権限・ロール体系の違いを詳しく解説し、自社に最適な権限設計のための指針をご紹介します。

セクション1:権限設計思想の違い

JSM: 社内ユーザー中心

階層型権限

  • 従業員(社内ユーザー)
  • グローバル/プロジェクト/イシュー権限の3層
  • プロジェクト単位管理
  • 外部はポータル限定

CSM: 外部顧客中心

エクスペリエンス型権限

  • 外部顧客(エンドユーザー・パートナー)
  • 内部権限と顧客アクセスの2大カテゴリ
  • 組織(Organization)単位制御
  • エンタイトルメント管理
権限の軸 JSM CSM
主な管理対象
社内ユーザー(従業員)
外部顧客(エンドユーザー・パートナー)
権限分類
グローバル権限 / プロジェクト権限 / イシュー権限
内部権限(Internal) / 顧客アクセス(Customer Access)
制御の単位
プロジェクト単位・権限スキーム
カスタマーエクスペリエンス単位・組織(Organization)単位
外部ユーザー管理
ポータル限定の「Portal-only Customer」
組織プロファイル+エンタイトルメントで管理

セクション2:JSMのロール体系

1. Jira System Admin(最上位)

2. Jira Admin

3. Service Project Administrator(プロジェクト管理者)

4. Agent(Service Desk Team)

5. Collaborator(協力者)

6. Stakeholder(承認者)

7. Customer(ポータルユーザー・外部・ライセンス不要)

ロール 主な権限 ライセンス
Jira System Admin
全Jira機能の管理・全プロジェクト設定変更・ユーザー管理
有償
Jira Admin
プロジェクト作成・ユーザー追加・全設定へのアクセス・レポート閲覧
有償
Service Project Admin
プロジェクト設定・ワークフロー構成・リクエストタイプ設定・自動化ルール管理
有償
Agent
チケット閲覧・編集・ワークフロー遷移・社内外コメント・作業ログ記録
有償
Collaborator
チケット閲覧・内部コメントのみ(ワークフロー遷移・顧客対応は不可)
無償(Jiraのみ)
Stakeholder
承認待ちリクエストの閲覧・承認/却下
無償
Customer
自分のリクエスト作成・閲覧・コメント
無償

⚠️ 注意
Service Project Agent 権限は特別な権限で、エージェントがSLA管理・ナレッジベース管理・顧客対応を行うための根幹権限です。この権限がないとSLA・ナレッジベース管理ができません。

セクション3:JSM権限スキームの6カテゴリ

1. プロジェクト権限

Administer Projects, Browse Projects, View Development Tools

2. イシュー権限

Create, Edit, Transition, Assign, Resolve, Close, Delete

3. コメント権限

Add Comments, Edit Own/All, Delete Own/All

4. 添付ファイル権限

Create Attachments, Delete Own/All

5. 投票・監視権限

View Voters/Watchers, Manage Watcher List

6. 時間追跡権限

Work On Issues, Edit/Delete Worklogs

セクション4:CSMのロール体系

内部権限(Internal Permissions)

Organization Admin(最上位) → Site Admin → Jira Admin → Project Admin → Customer Service Team → Collaborator

顧客アクセス権限(Customer Access)

  • 組織(Organization)単位でアクセス管理
  • カスタマーエクスペリエンス単位でアクセス制御
  • ドメイン制限(例:@company.com)
  • 招待制・オープンアクセス
ロール 主な権限 JSMとの違い
Organization Admin
サイト作成・ユーザー管理・サイト全体設定
CSMでは外部顧客管理も統括
Site Admin
Marketplaceアプリ管理・新規アプリ追加
JSMと同様
Jira Admin
プロジェクト作成・ユーザー追加・全設定・横断レポート
JSMと同様
Project Admin
プロジェクト設定・エクスペリエンス管理
CSM独自:エクスペリエンス設定権限が追加
Customer Service Team
全ワークアイテムの閲覧・対応・顧客追加
JSMの「Service Desk Team」に相当

セクション5:ロール対応表(JSM vs CSM)

機能・場面 JSMのロール CSMのロール 主な違い
システム全体管理
Jira System Admin
Organization Admin
CSMは「組織」概念が上位
プロジェクト管理
Service Project Admin
Project Admin
CSMはエクスペリエンス管理権限が追加
チケット対応
Service Desk Team
Customer Service Team
名称変更+外部顧客対応に特化
協力者
Collaborator
Collaborator
実質同じ(内部コメントのみ)
承認者
Stakeholder
(なし)
JSM固有
外部顧客
Customer(ポータル)
Customer(組織付き)
CSMはエンタイトルメント・履歴を保持

セクション6:CSM独自の顧客アクセス管理

設定項目 内容
アクセス単位
個人ではなく組織(Organization)単位でアクセス制御
オープンアクセス
リンクを知っていれば誰でもアクセス可
制限アクセス
登録済み組織に所属する顧客のみアクセス可
ドメイン制限
特定メールドメインのみアカウント作成可
ゲストアクセス
ログインせずに閲覧・フォーム送信が可能

💡 Portal-only customers設定について
JSMとCSMを同時運用する場合、Atlassian Admin > Apps > Sites > Customer Service Management > Portal-only customers 設定のトグルでアクセス範囲を制御できます。ONにすると、JSMとCSMの外部顧客アカウントを共有できます(推奨)。

セクション7:コンプライアンス比較

認証 JSM CSM
HIPAA
✅ 対応済み
❌ 未対応(確認要)
FedRAMP
✅ 対応済み
❌ 未対応
SOC 2等
✅ 対応
🔄 順次対応中

⚠️ コンプライアンスについて
コンプライアンス要件がある場合はJSMを維持してください。最新情報は Atlassian公式のTrust & Complianceページ をご確認ください。

セクション8:権限設計の選択指針

社内IT・HR・施設管理

➜ JSMの権限スキーム(ITIL準拠の階層型権限)を活用

外部顧客サポート

➜ CSMのカスタマーエクスペリエンス単位のアクセス制御と組織プロファイルを活用

両方同時運用

➜ Portal-only customersトグルで顧客アカウントの共有範囲を明確に設計し、JSM/CSMの境界を管理

重要な注意点

JSM固有の注意点:
- Collaboratorはライセンス不要だが、顧客対応は一切できない
- Service Project Agent権限がないとSLA・ナレッジベース管理ができない
- イシューセキュリティスキームで個別イシューレベルの可視性制御が可能

CSM固有の注意点:
- Connect Appは現時点で未対応 → 権限管理も3LO/Forgeのみ
- asApp() Forge認証が未対応 → バックグラウンド自動処理に制限あり
- HIPAAおよびFedRAMPはリリース時点で未取得 → コンプライアンス要件がある場合はJSMを維持

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